ホームページ制作が予定より遅れる原因は、実はほとんど一つに集約されます。 デザインでも技術でもありません。原稿と写真が集まらないことです。

制作会社側の作業は、素材が揃えば数週間で終わります。 ところが「文章を書かなければ」と思ったまま、 本業に追われて3ヶ月経ってしまう——これが本当によくあります。

この記事では、何を、どこまで、どう用意すればいいのかを具体的にまとめます。 結論から言うと、完璧な文章を書く必要はまったくありません。

先に結論:原稿は「箇条書きのメモ」で十分です。写真はスマートフォンで撮ったもので十分に使えます。大事なのは完成度ではなく、「情報が揃っていること」と「早く渡すこと」です。

まず確認:誰が用意する契約になっているか

契約前に必ず確認してください。ここが曖昧なまま進むと、追加費用か、制作の停滞のどちらかが起きます。

パターン 内容 向いている方
全部お客様が用意 文章も写真もすべて支給。制作会社は配置するだけ 費用を最も抑えたい方。書くのが苦にならない方
ヒアリングして制作側が書く 打ち合わせで話した内容をもとに、制作側が文章化。お客様は確認・修正 多くの方におすすめ。話すのは得意でも、書くのは苦手という方は多いです
取材・撮影込み ライターとカメラマンが入る 予算に余裕があり、質を優先したい方

見積書のどこを確認すればよいかは、 ホームページ制作の見積書、どこを見る?にまとめています。

原稿の準備:箇条書きで構いません

文章を「書こう」としないでください

多くの方が、いきなり整った文章を書こうとして手が止まります。 必要なのは文章力ではなく、情報です。

こう書こうとして止まる

当店は昭和より地域の皆様に支えられ、確かな技術で……
(書き出しで30分悩んで、その日は終わる)

これで十分です

・創業1998年、町屋で28年
・前は日暮里の店で12年修行してた
・お客さんは近所の常連さんが7割、あとは紹介
・「他でダメだった」って来る人が多い
・無理に薦めないのがうちのやり方
・一人でやってるので、予約優先

このメモがあれば、制作側は文章にできます。 逆に、整った文章だけを渡されても、その裏にある事実が分からないと、いいページにはなりません。

ページごとに、集めるべき情報

ページ 用意する情報
トップ 何屋なのか(一言で)/誰向けか/他と違う点を3つ/対応エリア
サービス・メニュー 項目名/内容/所要時間/こういう方におすすめ、という条件
料金 金額(税込か税別か)/何が含まれるか/追加費用が出る条件
自己紹介・会社概要 屋号/代表者名/住所/電話/営業時間/定休日/創業年/経歴/資格
実績・事例 どんな依頼で、何をして、どうなったか(3件分あれば十分です)
よくある質問 実際にお客様から聞かれる質問を、思い出せるだけ
アクセス 最寄り駅と徒歩分数/駐車場・駐輪場/目印になる建物

書きやすくなる3つのコツ

  • お客様に話していることを、そのまま書く。接客中に何度も説明していることが、そのまま一番いい原稿になります
  • スマホの音声入力を使う。「うちの店の特徴を説明して」と自分に問いかけて、話した内容をそのまま文字にすれば5分で終わります
  • 一気に全部やらない。1日1ページ分のメモ、と決めれば1週間で終わります

やってはいけないこと

同業他社のサイトの文章をコピーして使うのは、著作権侵害にあたります。「参考にしたい」場合は、構成や項目の立て方を参考にするにとどめ、文章は必ず自分の言葉で書いてください。検索エンジンからも、他サイトの複製は評価されません。

写真の準備:スマホで十分です

「いい写真がないので、プロに頼まないと」と止まってしまう方が多いのですが、 今のスマートフォンのカメラは、ウェブ用としては十分すぎる性能です。 撮り方さえ押さえれば、問題なく使えます。

撮っておくべき写真のリスト

  • 外観(看板や入口が分かるもの。初めて来る人の目印になります)
  • 内観(入ってすぐの景色、席や施術スペース、待合)
  • 働いている人(顔写真、作業中の様子)
  • 商品・メニュー・道具(扱っているものが分かるもの)
  • 作業中・施術中の手元(顔が写らなくても雰囲気が伝わります)
  • 実績・施工例(可能なら作業前と作業後の両方)
  • 周辺の様子(駅からの道、駐車場、目印になる建物)

目安として、合計30〜50枚あれば、ページ作りに困りません。 多めに撮っておいて、制作側に選んでもらうのが効率的です。

スマホ撮影の7つのコツ

1. 撮る前に、片付ける

これが8割です。テクニックより効きます。 レジ周りの書類、コード類、私物、ダンボール、貼り紙。 画面の端に写り込むものを片付けるだけで、写真の印象は劇的に変わります。

2. 昼間に、窓際で撮る

自然光が最も自然な色になります。晴れた日の午前中〜昼過ぎが理想です。 蛍光灯の真下は避けてください。顔に影が落ち、色も濁ります。

3. 逆光を避ける

窓を背にして人を撮ると、顔が真っ黒になります。 光が来る方向に被写体を向け、自分(撮る側)が窓を背にするのが基本です。

4. フラッシュは使わない

スマホのフラッシュは、影がきつく出て不自然になります。 暗い場合は、フラッシュではなく部屋の照明をすべて点けるほうが自然です。

5. ズームせず、自分が近づく

指で画面を広げるズーム(デジタルズーム)は、画質が落ちます。 足で近づいて撮ってください。

6. 横位置と縦位置、両方撮る

ホームページでは、場所によって必要な形が違います。 同じものを横向き・縦向きの両方で撮っておくと、制作側が使いやすくなります。 特にトップページの大きな画像は横長が必要です。

7. 少し引いて、余白を残す

ぴったり収めて撮ると、レイアウトのときに切れてしまいます。 被写体の周りに少し余白を残して撮ると、あとで自由に調整できます。

撮ってはいけないもの

  • 他のお客様の顔(写る場合は、必ず事前に許可を取ってください)
  • 他社の商品ロゴ、キャラクター、書籍・雑誌の表紙
  • 他人が写り込んだ通行風景(特定できる形で写っている場合)
  • 個人情報が読み取れるもの(予約表、カルテ、伝票、モニター画面)
  • 撮影禁止の場所(施設内、他店舗の中など)

データの渡し方

  • 加工・圧縮せず、元のサイズのまま渡してください。小さくすると使えなくなります
  • LINEで送ると画質が落ちます。ギガファイル便やGoogleドライブなど、劣化しない方法を使ってください
  • iPhoneの写真は「HEIC」という形式のことがあります。渡す前に一度確認し、必要ならJPEGに変換してもらってください(設定で変更できます)
  • ファイル名は「外観_01」「メニュー_ラーメン」のように、何の写真か分かる名前にしておくと、やりとりが一気に楽になります

写真がどうしても用意できない場合

フリー素材を使う

無料・有料の写真素材サイトがあります。ただし使いどころを間違えると逆効果です。

使ってよい場面 避けるべき場面
背景やイメージ写真として(風景、抽象的な素材) 自分の店の外観・内観の代わりに使う
ブログ記事のアイキャッチ画像 スタッフ紹介に、外国人モデルの写真を使う
説明のための図やアイコン 施工事例・実績として掲載する

「この店の写真ではない」と伝わった瞬間、サイト全体の信頼が落ちます。 実物の写真が下手でも、素材写真の完璧な店内よりずっと効果があります。

フリー素材にも利用規約があります。「商用利用可」でも、「加工不可」「クレジット表記が必要」「人物写真は特定の用途に使えない」といった条件が付くことがあります。使う前に必ず規約を確認してください。無断で使った画像は、あとから高額な請求につながる事例があります。

プロに頼むかどうかの判断基準

次のいずれかに当てはまるなら、撮影費をかける価値があります。

  • 見た目が売上を左右する業種(飲食店の料理、美容室の仕上がり、工務店の施工例)
  • 店内が暗い、狭いなど、スマホでは条件が厳しい環境
  • 顔写真を、信頼感のある形で使いたい(士業、コンサルタントなど)

逆に、まずは公開して様子を見たいという段階なら、 スマホ撮影で公開し、あとから差し替えるので十分です。 写真は公開後でも入れ替えられます。

依頼前の準備チェックリスト

打ち合わせの前に、これだけ揃えておくと、制作が驚くほどスムーズに進みます。

  • 屋号・代表者名・住所・電話番号・メールアドレス(正式表記で)
  • 営業時間と定休日
  • 対応エリア、または最寄り駅と徒歩分数
  • サービス・メニューの一覧と料金(税込・税別の別も)
  • 創業年、経歴、保有資格
  • ロゴのデータ(あれば。印刷会社からもらった元データが理想です)
  • 写真30〜50枚(外観・内観・人・商品)
  • お客様からよく聞かれる質問のメモ
  • 参考にしたいサイトを2〜3件(「ここのこの部分が好き」まで言えると理想的)
  • SNSのアカウント、Googleビジネスプロフィールの有無
  • 今使っているドメイン・サーバーの情報(すでにサイトがある場合)

全部揃わなくても、打ち合わせは始められます。むしろ「これが分からない」という状態のまま相談してもらったほうが、必要なものを一緒に整理できます。準備が完璧になるのを待って何ヶ月も経ってしまうのが、いちばんもったいないパターンです。

まとめ:完成度より、スピード

  • 誰が原稿と写真を用意するのか、契約前に必ず確認する
  • 原稿は箇条書きのメモで十分。文章にするのは制作側の仕事にできる
  • お客様にいつも話していることが、そのまま最良の原稿になる
  • 音声入力を使えば、書く作業は5分で終わる
  • 他社サイトの文章コピーは絶対にしない
  • 写真はスマホで十分。撮る前の「片付け」が最重要
  • 昼間・窓際・逆光を避ける・ズームしない・横縦両方
  • 他人の顔、他社ロゴ、個人情報の写り込みに注意する
  • データは圧縮せず、元サイズのまま渡す
  • 素材写真で店の実物を代用しない。信頼を落とします

Longworksでは、荒川区・町屋を中心に 個人事業主・小規模事業者向けのホームページ制作をお手伝いしています。 「書くのが苦手」という方には、お話を伺って原稿を組み立てる形でも対応しています。 費用の目安は料金ページ、 制作の始め方全体は初めてのホームページ制作、何から始める?もあわせてご覧ください。