ホームページの制作が途中で止まってしまう理由で、いちばん多いのが「載せる文章が書けない」です。 デザインの好みはすぐ決まるのに、サービス紹介の本文だけが何週間も白紙のまま、という状況は珍しくありません。
そこで最近よく聞かれるのが、「ChatGPTに書いてもらってもいいですか」というご質問です。 答えとしては「使ってください。ただし全部は任せないでください」になります。 この記事では、AIに任せていい作業とそうでない作業の線引き、指示の出し方、 そして書き上がった文章を直すときの確認ポイントをまとめます。
先に結論:AIは「文章の形を整える」のが得意なだけで、「あなたのお店のことを知っている」わけではありません。形はAIに、中身はご自身で。
AIに任せていい仕事、自分で書くべき仕事
AIが書いた文章が「薄い」と感じられるのは、たいていの場合、 材料を渡さずに書かせているからです。 材料さえ渡せば、文章化の作業自体はかなり正確にこなします。 作業の性質ごとに、任せられるかどうかを整理すると次のようになります。
| 作業 | 任せていいか |
|---|---|
| 見出しの案出し・構成の骨組み | 任せていい。10案出させて、合うものを選ぶ使い方が効率的です |
| 箇条書きのメモを文章にする | 任せていい。いちばん時間を節約できる使い方です |
| 長い文を短くする・言い換える | 任せていい。自分で書いた文が硬いときに有効です |
| 誤字脱字のチェック・表記の統一 | 任せていい。「お客様」「お客さま」などの揺れを直せます |
| 営業時間・料金・住所・定休日 | 自分で書く。AIは正解を知りません |
| 自店の強み・こだわり | 自分で書く。ここを任せると他店と同じ文章になります |
| 実績・お客様の声 | 自分で書く。AIに作らせてはいけません |
AIは「あなたの店」を知らない
当たり前のようですが、ここが抜けると事故が起きます。 AIは世の中にある大量の文章から「それらしい言い回し」を組み立てているだけで、 あなたのお店に来たことも、あなたの仕事を見たこともありません。
ですから「うちの強みを書いて」と頼むと、 どの店でも言えそうな一般論が返ってきます。 「丁寧なカウンセリング」「お客様一人ひとりに寄り添った」—— 読んだ人が他店と区別できない文章は、載せてもほとんど働きません。 ホームページを作ったのに集客できない理由の ひとつが、まさにこの「誰にでも当てはまる文章」です。
そのまま公開してはいけない3つの箇所
1. 数字・日付・固有名詞
AIは分からないことを「分からない」と言わずに、 もっともらしい数字で埋めてしまうことがあります。 創業年、施術時間、駐車場の台数、最寄駅からの徒歩分数。 こうした数字が勝手に書かれていないか、必ず1つずつ確認してください。
特に徒歩分数とアクセス情報は、実際に歩いて確かめるのが確実です。 来店型のお店では、ここがずれていると最初の来店で信用を落とします。
2. 料金と、その条件
料金そのものだけでなく、「どこまで含むか」が正確である必要があります。 AIに整えさせると、条件の但し書きがきれいに削られてしまうことがあります。 削られた結果、後から「聞いていた金額と違う」というトラブルにつながります。
文章を整えたあと、元の箇条書きと並べて、 条件が落ちていないかを照合してください。
3. 実績・お客様の声・受賞歴
ここが最も危険です。実在しない実績やお客様の声をAIに作らせることは、絶対に避けてください。 文章としては自然に仕上がってしまうため、悪気なく載せてしまう事故が起こり得ます。
事実と異なる表示は、景品表示法などの観点から問題になる可能性があります。 表示の適否について判断に迷う場合は、消費者庁が公開している情報や、 業種の所属団体・専門家にご確認ください。 掲載できる実績がまだ少ない段階では、無理に埋めず、 実績欄そのものを置かないのがいちばん安全です。
指示の出し方で、結果はほぼ決まる
同じAIでも、渡す情報の量で結果はまったく変わります。 うまくいかないときは、AIの性能ではなく指示が足りていないことがほとんどです。
うまくいかない指示
「美容室のホームページの文章を書いて」—— これだけでは、AIは一般的な美容室を想像して書くしかありません。 結果として、検索すればいくらでも出てくる文章になります。
うまくいく指示
次の5点を添えると、出力は大きく変わります。
- 誰に向けた文章か/例:「40代以降で、白髪染めを続けるか迷っている方」
- 何を伝えたいか/例:「相談だけでも来てよいこと」
- 材料/箇条書きの事実をそのまま貼り付ける
- 長さ/例:「300字程度」
- トーン/例:「誇張せず、落ち着いた敬体で」
材料は、きれいな文章にする必要はありません。 メモのままで十分です。 「駅から徒歩6分」「完全個室ではないが半個室」のような走り書きでも、 AIはそれを文章に起こせます。逆に言えば、この走り書きだけは自分で用意するしかありません。
制作をご依頼いただく場合も同じです。箇条書きのメモさえいただければ、こちらで文章に整えられます。原稿と写真は誰が用意するかもあわせてご覧ください。
AIが書いた文章を直す、5つのチェック
出てきた文章は、必ず自分の目で通してください。確認の順番は次のとおりです。
- 事実が入っているか/数字や固有名詞がぼかされていないか。「豊富な経験」ではなく「◯年」で書けるところは書く
- 自分の言葉になっているか/声に出して読んで、普段使わない言い回しがあれば直す
- 言い切りすぎていないか/「必ず」「絶対に」「No.1」「最安」は消す。効果を断定する表現は避ける
- 同じことを繰り返していないか/AIは言い換えで水増ししがちです。重複する段落は丸ごと削る
- 次に何をすればいいか書いてあるか/読み終えた人が予約や問い合わせに進めるか
特に2つめの「声に出して読む」は効きます。 読んでいて気恥ずかしい箇所は、たいていAIが盛った箇所です。 削ると文章は短くなりますが、短いほうが読まれます。
AIで書いた文章は、Googleに評価されないのか
「AIで書くと検索順位が下がる」という話を耳にされるかもしれません。 これは正確ではありません。Googleは、AIを使ったかどうかではなく、 その内容が読む人の役に立つかどうかを評価すると説明しています。
問題になるのは、書き方ではなく使い方です。 検索順位を上げることだけを目的に、中身の薄い記事を大量生成する行為は、 Googleのスパムポリシーの対象になり得ます。 1本ずつ事実を入れて丁寧に仕上げているなら、AIを下書きに使うこと自体は問題になりません。
AI検索やChatGPT経由で見つけてもらうための考え方は、 AI時代のホームページ対策で詳しく扱っています。 結論だけ先に書くと、そこでも重要なのは 「事実をぼかさずに書く」という同じ一点です。
実際の進め方
原稿づくりで止まらないための手順を、そのまま書いておきます。
- 30分だけ時間を取り、箇条書きで事実を出す。文章にしようとしない
- その箇条書きをAIに渡し、読者と長さを指定して文章にしてもらう
- 出てきた文章を声に出して読む。違和感のある箇所を消す
- 数字・料金・固有名詞を、元の箇条書きと照らして確認する
- できれば家族や従業員など、事情を知らない人にひとこと読んでもらう
5番目は省略されがちですが、いちばん効果があります。 自分では当たり前すぎて書かなかったことが、 実は外から見たいちばんの特徴だった、というのはよくあることです。
箇条書きさえ手元にあれば、制作は止まりません。完璧な文章を用意してからご連絡いただく必要はありません。
まとめ
- AIは文章の形を整えるのが得意。中身の事実は自分で用意する
- 数字・料金の条件・実績は、そのまま公開しない。1つずつ確認する
- 実在しないお客様の声や実績をAIに作らせない
- 指示には「誰に・何を・材料・長さ・トーン」の5点を添える
- AIを使ったこと自体は問題にならない。中身の薄い記事の量産が問題になる
Longworksでは、荒川区・町屋を中心に個人事業主・小規模店舗のホームページ制作をお手伝いしています。 原稿は箇条書きのメモでお預かりし、こちらで整える形も可能です。 これから初めて作る方は初めてのホームページ制作の準備チェックリスト、 費用の目安は料金ページをご覧ください。